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『わたしが妹だったとき』刊行40周年

『わたしが妹だったとき』
『わたしが妹だったとき』は1982年に刊行されました。
2022年に刊行40周年を迎えます。

1982年11月 偕成社刊

『わたしが妹だったとき』に込められた佐野洋子の思いが「あとがき」に書かれています。

 わたしには二つちがいの兄がいました。
 わたしは、わたしを知るよりもまえに兄を知っていたとずっと思っていました。
 北京にいたわたしは、自分の家と庭で兄とだけ遊んでいました。わたしはほかの子どもを知らなかったのです。
 わたしに弟ができ、また弟ができ、また弟ができたのに、わたしは兄とだけ遊んでいました。
 となりにかわいい女の子がもらわれてきて、兄もすこし大きくなるとすこし遠くまで遊びにゆき、すこしずつわたしたちの世界が広がってゆきました。それでもわたしと兄は、だれより気の合う遊び仲間でした。
 わたしは兄と自分を区別できなかったのかもしれません。父と母が死んだらどうしようという恐怖に寝られないことがあったのに、わたしは兄が死ぬことを考えたことはありませんでした。いつかわたしたちは大人になって死ぬけれど、大人になるときなど考えられないほど先のことで、そんな先のことをわたしは考えなかったのです。
 兄は死にました。
 わたしはじっと、だんだん死んでゆく兄を見ていました。

 兄とわたしが過ごした幼年時代を共になつかしむ相手を失ってしまったために、小さな兄はいつまでもわたしの中で小さなまま生き続けています。
 わたしはこの本を創ることで、もう一度兄と遊びたいと思っていたのかもしれません。
 小さかったわたしと兄と一緒に遊んでくださってありがとう。

佐野洋子


『わたしが妹だったとき』 韓国語版
2022年5月 Yeoyoudang刊
訳  ファン・ジンフィ